連日猛暑が続く真夏には、多くの高齢者が熱中症や脱水症状を起こして救急搬送される。
高齢者や病気療養中の人のご自宅を訪問する訪問看護の仕事でも真夏のこのような症状を防ぐ努力が必要である。
多くの高齢者が自宅内で脱水症状を起こして倒れるのは、原因がいくつかある。
まず一つ目が、エアコンを使用しない事だ。
これは一般的にもよく聞く話で、高齢者の多くは「クーラーが嫌い」だと言って真夏でも扇風機だけで我慢している。
これに対して訪問看護では、過去に熱中症の経験が無くても今後は起こりうると説明する必要がある。
その上で、扇風機とクーラーの役割の違いを知らない高齢者は多いので、このことも説明が必要だ。
エアコンは部屋の温度を涼しくするものであり、風を体にあてて涼しむものではない事を理解すると意外と素直に使い始めてくれるものだ。
その上で部屋が涼しくなり過ぎない温度や風量に設定し風向を上にむけて、扇風機と併用して風が循環するように環境整備をする。
これで熱中症を免れる事ができる。
そしてもう一つ、エアコンを日頃から使用しているのに脱水症状を起こす人がいる。
しかも水分もこまめに摂取しており、本人は十分に防ぐ努力をしているのだ。
こうなる原因で実は多いのが、視力の低下でリモコンの操作を誤っている事である。
エアコンのリモコンは小さいので、ボタンに表示されている文字が正しく読めていないことがある。
本人は間違いなくリモコン操作をしているつもりだが、実際に部屋を訪れるとサウナのようになっている。
これは冷房のつもりで暖房ボタンを押しているからだ。
真夏の閉め切った部屋で暖房が機能した部屋は、若い人でも倒れそうになる。
こういった点も、患者とその家族で一緒にチェックすることを怠らないようにすると良いだろう。